15.AI・機械学習をちょこっと学んだのでSAPのそれ系サービスを振り返ってみた。
この記事は、chillSAPコミュニティ主催の「夏の自由研究2021」の記事として執筆しています。
自由研究の内容とモチベーション
社内の「AI実践ハンズオントレーニング」を受講し、機械学習の基礎的な知識を得ることができたので、あらためて現在SAPが提供しているAI・機械学習関連機能/サービスを調査・整理してみようと思います。
SAPのAI・機械学習関連機能/サービス
SAPにとってS/4HANAを「Intelligent ERPの出発点」という位置づけとしているので、AI・機械学習機能を備えたサービスが多くの製品ラインナップとして提供されています。
AI・機械学習サービスを大きく2つに分類することができます。
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Embedding AI natively in SAP applications
S/4HANAでいえばFI:財務会計やSD:販売管理といったそれぞれのアプリケーションモジュールの標準機能としてAIや機械学習が備わっているものを指します。
伝票登録処理のエラー発生をトリガとして、ユーザに後続業務で追加対応が必要となるタスクを事前に通知する、といった予測機能が主なものになります。
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Exposing business-relevant capabilities via SAP BTP to customers and partners
一方でこちらはSAP BTPの標準機能としてAI・機械学習が備わっている、もしくは、SAP BTP上の開発環境を利用して既存のアプリケーションやデータに対して機械学習による付加的な機能を追加していくことができることを指しています。SAP iRPA、SAP Conversational AI、SAP Data Intelligenceといったサービスが該当します。
この他に、近年急速な機能拡張とともに存在感を増しているSaaS型BIツールであるSAP Analytics Cloudにも、データの予測分析機能としてAI・機械学習機能が利用されています。
SAP Data Intelligenceの振り返り
今回社内で受講したAIトレーニングでは、Pythonの機械学習や数値解析系のライブラリを利用して、分析に必要なデータの加工から分析用モデルの作成、モデルに対する学習実行、モデルを用いた予測、モデルの改善、といったデータ分析の基本的な流れを学ぶことができました。(学習教材としてはわりと一般的な(?)SIGNATEの「お弁当の需要予測チュートリアル」を利用しました。)
せっかくデータ分析手法のキホンを学ぶことができたので、前述したSAPの機械学習機能の中でもユーザの手でデータ分析フローを定義できるSAP Data Intelligenceについて、その機能や特長について振り返りたいと思います。
振り返りに利用するのはもちろん「SAP Inside Track Tokyo 2021 Day5-DAT」の関連2セッションのプレゼンテーションです。
登壇された方もおっしゃっているようにData Intelligenceの強みは以下の2点です。
- データ加工〜モデル作成〜学習〜予測〜モデル評価の一連のデータ分析タスクを一つのツール、画面上で一元管理できること
- 豊富なSAPシステム/サービスとのPre-drfined Connector
特に前者の「データ分析タスクの一元管理できる」については、実際にPythonでデータ分析をやってみると、インプットデータ、モデル関数、検証用データ、評価用データ、モデルの評価指標などのバージョンを意識しながら作業を進める必要があり、その時その時で使用する対象のオブジェクトを個別のスプレッドシートなどで管理したくなります。
その点、Data IntelligenceではGUIベースの同一画面上で管理できることで視認性も良く、とても便利に感じます。自分で紹介しながら使ってみたい気持ちが沸々と高まってきました。
Tutorialをやってみた!・・・、と書きたかった
というわけで早速SAP Data Intelligenceのチュートリアルをやってみよう!と勇んでDeveloper Tutorialsにアクセスしてみたところ、チュートリアルを進めるにはSAPのクラウド検証環境Cloud Applience Library(CAL)が必要との悲報が。
CAL環境を利用できる機会があれば是非とも触ってみたいですし、今後SAP BTPのトライアルアカウントのサービスに追加されることも期待したいと思います。